「電報」と聞くと、戦前・戦後の時代を扱った映画などに登場する、緊急時に届くカタカナの短文を真っ先に思い浮かべる方も多いかもしれません。
現代の生活のなかでも、葬儀・告別式などで、弔電が読み上げられるのを聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか。
ここでは、指先一つでメッセージが送れる現代にも残る電報、なかでも葬儀の際に送る弔電についてご紹介します。
電報・弔電とは
「電報」とは、電気通信を用いた文書配達サービスで、「弔電」とは、訃報を受けてお通夜や葬儀・告別式に参列できない場合に、故人の死を悼む気持ちを送る電報のことです。
家族葬などで香典や供物・供花を辞退されている際や、取引先の相手などに対して、会社や組織として弔意を表す際にも使用されます。
電報サービスが日本に登場したのは、明治2年。郵便より約2年、電話より約21年も前のことで、当時の最先端の通信手段でした。現在、各種の通信サービスがあるなかでも、「特別な思いは電報で送る」という方が多いようです。
弔電は、メールやメッセージアプリと違い、丁寧な体裁で送ることで、お悔やみの気持ちが印象に残ります。緊急時の連絡手段から、「気持ちを伝える」ための手段に役割を変え、電報はその形を残し続けているのです。
弔電を送る際のマナー
一般葬では、司会者による「弔電の紹介や披露」が行なわれることがあるため、弔電を送る際は、通夜の開始より前に、遅くとも告別式までに届くように手配することが一般的です。
弔電の書き方に関しても、いくつか注意すべき点があります。
弔文に限らず、ご不幸のあったご遺族に対しては、通常の生活ではあまり使わない敬称を使います。受取人の実父であればご尊父様、受取人の実母であればご母堂様など、故人と相手の関係によって変わりますので、弔電を送る前に調べておきましょう。
「死ぬ」「生きる」などの生死や不幸を連想させる忌み言葉、「たびたび」「再び」などの不幸が繰り返すことを連想させる重ね言葉、数字の「四」「九」などの音が良くない言葉を避けるようにしましょう。
また、仏教以外の宗教の方に送る場合は、「成仏」「供養」などの仏教用語は避けるようにします。相手の宗教によっても慣習が違う可能性があるため、事前に確認しておくことが大切です。
事前に自分で文章を考えている場合は、その文章で送ることもできますが、電報サービス側で準備されているサンプルの中から選ぶこともできます。
電報は文字数しだいで料金が決まる点も含めて検討しましょう。
まとめ
ここでは、緊急時連絡から特別な思いを伝える手段になっている現代の電報と、その電報を使って葬儀に参列できない場合にお悔やみの気持ち送る弔電に関してご紹介しました。
訃報は突然届くものであり、必ずしも葬儀の日に都合がつくとは限りません。そんなときに慌てずしっかりと気持ちを送ることができるように、基本的なマナーをおさえておくことは大切です。