「チチキトク。スグニカヘレ」(父危篤、すぐに帰れ)。「サクラサク」(桜咲く)、など昔の小説にはカタカナ打ちの電報が登場します。
しかし、今の電報は、電話やインターネットから自由に文章を作成し、その文字数に応じて金額が決定します。
自分で一から文章を作成するのが大変、そのような場合には各電話、電報会社で用意している文例を活用するのも一案です。
今回はおすすめの文例の使い方について解説します。
緊急定文電報(短文文例)はすでに廃止
電報の文例といいますと、冒頭で書いたような「キトク」や「シス」(死す)などカタカタ表記で短い文章が挙げられます。実際にはそこから漢字、ひらがな交じりの文章になり「危篤」や「死す、至急連絡されたし。」などの文例が用意されていました。
これを「緊急定文電報」と呼びましたが、2023年1月に廃止されました。「緊急定文電報」は
- 文章を考える手間がかからず必要なことを電報として送れる
- 1文字〇円の電報で文字数を少なくでき電報料金を下げられる
というメリットがありました。しかし、電報料金が1文字〇円から1ページ〇円(今は1ページ目1,320円)に変わったことで意味がなくなりました。
現在電報は結婚式やお葬式に儀礼的な意味で送るものに変わっていて、本当に父が危篤なら電報を送らず、メールやLINEにするはずです。
そうしたこともあり、文例定型文のみの「緊急定文電報」は廃止前、1年間に100件ほどの利用にとどまっていました。
電報の文例をカスタマイズして送ろう
現在、電報は慶事(結婚式、出産、卒業、就職)や弔事(お葬式)など儀礼的なものとして使われています。
儀礼的なものなのでうかつな文章は入れられません。そこで文例をそのまま送るか、文例を参考にカスタマイズして送ることになります。
上述のように、電報料金は1文字〇円から1ページ〇円に変わったので、文例に加筆してもよほど文字数を増やさない限り同料金です。
電話会社(NTT東日本、NTT西日本、KDDIなど)ではイベントに合わせて文例が用意されています。そのまま申し込むのではなく、文例をコピーしてワードやメモ帳で修正して、自由文章として申し込むことをおすすめします。
例えば、NTT東日本の結婚式の文例で
「ご結婚おめでとうございます。いつも元気で、まっ黒に日焼けをして遊んでいた姿を思い出します。かわいい花嫁さんと、こちらにも遊びに来てください。いつでも大歓迎です。」(NTT東日本ホームページより引用)(80字)
というものがありますが、これを参考に加筆修正し
「ご結婚おめでとうございます。いつも元気で、男3人のスキューバダイビングでまっ黒に日焼けをして沖縄の海を一緒に泳いでいた場面を思い出します。同じようにスキューバが趣味の花嫁さんと、こちらにも遊びに来てください。一緒に潜りましょう!いつでも大歓迎です。」(124字)
このように変えれば具体的なエピソードも盛り込めます。
電報の仕様変更で、300字までは同料金になったので、複数の文例を組み合わせても(1文例は長くて100字)まったく問題ありません。
まとめ
電報の文例は「緊急時に時間をかけずかつ廉価で送るためのもの」から「じっくり考えて思い出になるような文章を送るための下地」にその意味合いが変わってきました。
メールやLINEによって昔のような電報の使い方ではなく、儀礼的なものになっているので、文例を参考に送る相手に「刺さる」文章をぜひ作ってください。仕様変更で文字数と料金は気にしなくてもよくなったことも、ぜひ覚えておきましょう。